向日葵のカミサマ~Vol.8~(最終話)
夏休みに入って2日目、私は真帆さんの家に遊びに行った。
何度も行ったから、道は解るのに
「絶対に迷うから」と必ず真帆さんは駅まで迎えに来る
抑も駅から徒歩10分でどうやって迷えと言うのだろう
だいたい駅を出て真ん前の大通りを突っ切っていくだけなのに…
正直、迷う方が難しいよ。
改札を出ると真帆さんが立っていた。
見慣れた黒いスカートの、背の高い人。
白いブラウスが少し病的な感じを醸し出す。
青白い顔をして、いつもの柱の所に立ってた。
「…おはよう。」
「真帆さん、今11時。」
「知ってる。でもさっき起きたんだもの」
この人の生活時間は絶対におかしい。
学校があるときは6時前に起きてるらしいのに
どうして休みになった途端そんなに昼夜逆転するのだろう。
真帆さんの家について、鍵を開ける。
真帆さんが持っている、この家の鍵がついているキーホルダー、
実は昔、矢倉先生にバレンタインデーにチョコをあげたら
ホワイトデーにもらったとか。
いつもとても大事そうに持っている。
初めて浅井先生の授業があったときは、浅井先生が怖かったらしく
お守り代わりに制服に入れていたとか…。
(真帆さん曰く、浅井先生は別世界の住人らしい…)
「おじゃましまーす…」
「狭い家ですが、どうぞ」
真帆さんは必ずそう言う。
だけど、章斗さんと二人暮らしだから
実は結構広いのである。
真帆さんはとにかくテディベアが大好きで
久々に真帆さんの家へ行ったら一匹(ひとつ?)増えていた。
「真帆さん、またクマさん増えた?」
「うん、この前友達にもらった。で、浅井先生に
『クマさんもらった!』って喜んで話したら大笑いされた。」
そりゃー、高校生になってテディベアで喜ぶ人
あんまりいないもんね…
大笑いするあたり、凄く浅井先生らしいな。
あの人、素直だもん。
真帆さんは少しずつ笑うようになった。
相変わらず長袖を着ているけれど
ちゃんと私には笑ってくれる。
そして、先生達にも、ちゃんと笑顔を向ける。
今日は真帆さんの家でランチ。
二人でパスタとケーキを食べた。
ケーキは前日に真帆さんが焼いたのと、
私が焼いて持ってきた、2つ。
何故かホールケーキが半分になって出てきたので
訳を聞いてみると
「…今朝、章斗さんが半分食べて出掛けていった」
今朝って…朝からケーキ半分食べて出掛けたんだ、あの人。
その章斗さんはというと、真帆さん曰く
「どこかに行った。2,3日帰ってこない」らしい。
謎の多い人だ。
真帆さんは「良くあること」と言っていたけど…
真帆さんがいて
学校に行けば先生達がいて
友達が居て…
そんな毎日が、好きです。

