Wednesday, March 29, 2006

向日葵のカミサマ~Vol.8~(最終話)

夏休みに入って2日目、私は真帆さんの家に遊びに行った。
何度も行ったから、道は解るのに
「絶対に迷うから」と必ず真帆さんは駅まで迎えに来る
抑も駅から徒歩10分でどうやって迷えと言うのだろう
だいたい駅を出て真ん前の大通りを突っ切っていくだけなのに…
正直、迷う方が難しいよ。

改札を出ると真帆さんが立っていた。
見慣れた黒いスカートの、背の高い人。
白いブラウスが少し病的な感じを醸し出す。
青白い顔をして、いつもの柱の所に立ってた。
「…おはよう。」
「真帆さん、今11時。」
「知ってる。でもさっき起きたんだもの」
この人の生活時間は絶対におかしい。
学校があるときは6時前に起きてるらしいのに
どうして休みになった途端そんなに昼夜逆転するのだろう。

真帆さんの家について、鍵を開ける。
真帆さんが持っている、この家の鍵がついているキーホルダー、
実は昔、矢倉先生にバレンタインデーにチョコをあげたら
ホワイトデーにもらったとか。
いつもとても大事そうに持っている。
初めて浅井先生の授業があったときは、浅井先生が怖かったらしく
お守り代わりに制服に入れていたとか…。
(真帆さん曰く、浅井先生は別世界の住人らしい…)

「おじゃましまーす…」
「狭い家ですが、どうぞ」
真帆さんは必ずそう言う。
だけど、章斗さんと二人暮らしだから
実は結構広いのである。

真帆さんはとにかくテディベアが大好きで
久々に真帆さんの家へ行ったら一匹(ひとつ?)増えていた。
「真帆さん、またクマさん増えた?」
「うん、この前友達にもらった。で、浅井先生に
『クマさんもらった!』って喜んで話したら大笑いされた。」
そりゃー、高校生になってテディベアで喜ぶ人
あんまりいないもんね…
大笑いするあたり、凄く浅井先生らしいな。
あの人、素直だもん。

真帆さんは少しずつ笑うようになった。
相変わらず長袖を着ているけれど
ちゃんと私には笑ってくれる。
そして、先生達にも、ちゃんと笑顔を向ける。

今日は真帆さんの家でランチ。
二人でパスタとケーキを食べた。
ケーキは前日に真帆さんが焼いたのと、
私が焼いて持ってきた、2つ。
何故かホールケーキが半分になって出てきたので
訳を聞いてみると
「…今朝、章斗さんが半分食べて出掛けていった」
今朝って…朝からケーキ半分食べて出掛けたんだ、あの人。
その章斗さんはというと、真帆さん曰く
「どこかに行った。2,3日帰ってこない」らしい。
謎の多い人だ。
真帆さんは「良くあること」と言っていたけど…

真帆さんがいて
学校に行けば先生達がいて
友達が居て…

そんな毎日が、好きです。

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Tuesday, March 07, 2006

向日葵のカミサマ~vol.7~

矢倉先生はハリセンを作り終えた。
真帆さんは相変わらず外を見ている。

「…帰ろうよ」
真帆さんが呟いた。
「…っつーか、いつまで喋るんだ」
矢倉先生が机の上を片づける(というより、汚いのが少しマシになった)
「話題が尽きるまで…ったぁい!」
できたてほやほやのハリセンが私の頭に飛んできた。
「よし、使える」
「…実験台?」
「そう。」
満足そうに矢倉先生が笑った。

「…帰ろうよ?」
真帆さんがもう一度言う。
「本条さーん、俺も帰るから、一緒に帰ろう?」
気が付けば浅井先生が笑顔で後ろから来た。
じぃー、と、浅井先生を真帆さんは見つめた。
「…歌弥、帰ろう?」
真帆さんは浅井先生を無視して私の方を向く。
「うん、そうだね」
「浅井先生ほっぽるのかよ」
もっともなツッコミがハリセンと共に入れられた。
「…返答に困ったので…」
鞄を抱えている真帆さんに、浅井先生が手招きをする。
「じゃあ、先生、また2学期ねー!!」
「ああ、怪我しないようになー、トロいんだから」
「…一言余計だよ」
静かに真帆さんは笑った。

職員室を出て、下駄箱に向かう。
真帆さんは実は意外と気まぐれで
只今浅井先生に興味はないようで
職員室前にいた浅井先生を思いっきり無視して下駄箱に行った
「正門で待っててねー」
真帆さん、黙って歩き出す。
しょうがないので、私が返事をした。

「…前にね、浅井先生と、クラスの友達で一緒に帰った。」
下駄箱で、唐突に真帆さんが言った。
「その時もそうだったけど、浅井先生って、どこか遠い人なんだよね」
「遠い人?」
「うん。いつも笑ってるから何考えてるかわかんないし。
でも、章斗さんと一緒で、優しい背中をしてる。」
話が全く繋がらない。

下駄箱から歩いて正門に行くと、「優しい背中」が待っていた。
直感的に「この人姿勢良くないな」と思った。

「浅井先生。背中が丸まってます。」
ああ、真帆さん、言っちゃったよ。
それも思いっきり明るい笑顔で
先生言葉失ってるよ。
「あーもーいいの。気にしないの。」
先生はいかにも不味いところをつかれたような笑顔をした。
この人はいつも笑顔だからある意味怖い。

真帆さんはすたすたと歩いた。
「ねーねー、本条さーん」
「はぁい」
「入院したんだって?」
「ええ、まぁ、ちょっとだけ。」
「…ホントにもう…」
言っている台詞とは裏腹に、先生は笑顔。
真帆さんは、何も答えなかった。
事情は私が話したから、解っているのだから
何も本人に聞くことはないだろう

「先生は、みんなのパパだよね」
真帆さんが唐突に言う。
「…父親の背中って、こんなかなー、って、いつも思う」
「俺そんな年じゃないんだけど…」
何となく真帆さんが言わんとすることは解った。
「…つまり、真帆さんの理想の父親像って浅井先生でしょ」
私は通訳した。
「矢倉先生も。」
「本条さんのお父さんって、どんな人?」
「…もう、良く覚えてないなぁー。」
真帆さんが、呟く。
「章斗さんの家に来て以来、会ってないもの」
「そうかぁ」

呑気に歩いていると、駅に着いた。
「先生またね!」
「うん、またねー、怪我しないようにね」
「…一言多いってば」

真帆さんと私は同じ方向の電車を待った。

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Thursday, February 16, 2006

向日葵のカミサマ~Vol.6~

終業式の日、職員室の前に行くと
遠い目をした真帆さんがフラフラしていた。
腕には、「章斗さんが買ってくれたんだ」と
嬉しそうに話していた時計がされていた。

真夏なのに、長袖だった。
きっと左腕も右腕も、カッターナイフか何かで
ズタズタに切り裂かれたのだろう。
相変わらず、真帆さんは死ぬことを諦めていないのだろう。

「真帆さん!!おはよう!」
思いっきり真帆さんに飛びついた
「…ああ、おはよ」
遠い目をしたまま、無表情に真帆さんは答えた

回りには、真帆さんと一緒にいる先輩が何人かいたけれど
みんな真帆さんのことをよく解っている人たちだから
真帆さんの素っ気ない返事も、無表情も
全部、受け流していた。

ちょうどその時、矢倉先生が職員室から出てきた。
相変わらず、派手なシャツを着ていた。
「あ、おはよーございます」
「うん」
矢倉先生の謎の反応に少し困った。
「…おはよーございます」
真帆さんは思いっきり無理をした笑顔で言った、と思うと、
「いたッ」と小さく悲鳴が聞こえた。

あーあー、矢倉先生に3発も叩かれてるよ…

でも、真帆さんはその時少し笑った。
叩かれたことがが矢倉先生「心配してる」っていうメッセージであることは
真帆さんが一番よく知ってる。
だって、前にはハリセンで後ろからいきなり叩かれたし
それに、いつも真帆さんは先生に蹴られているもの。
まぁ、真帆さんが先生に抱きついているからなのだけれど。
いつも、その繰り返し。
淋しくなれば、真帆さんは先生に抱きつく。
そして蹴られると、満足するんだ。
章斗さんの言うとおり、きっと先生は
真帆さんにとって「父親」なのだろう。

そう言えば、前に二人で本気で追いかけっこしてるの、見た。
その時の真帆さんの楽しそうな表情は忘れない。

放課後、真帆さんと私は職員室へ行った。
もう講師の先生が来ていなかったのと、矢倉先生の机の隣の椅子が
空いていたので、先生が「座って良いよ」と言ってくれた。
私達は座ってしばらく話していた。
と言っても、私が喋っていたと言った方が正しい。
矢倉先生は何故か一生懸命ハリセンを作っていたが
それは気にしないことにした。
一体何に使うんだろう。

真帆さんは鞄からチョコレートを出した。
「はい、あげる。」
私と、先生に1つずつくれると
それきり黙ってしまった。
こちらも意味不明な行動をしてる。

浅井先生が、向こうからそっと、真帆さんを見ていた。
真帆さんは、ただ、外を見ていた。

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Monday, January 16, 2006

向日葵のカミサマ~Vol.5~

病室に着くと、そこは4人部屋だった
もう真帆さんは今は経過観察ということで、明後日には退院らしい

「真帆」
章斗さんが声を掛けたのに、真帆さんは即座に私を見た。
「…あ、歌弥だぁ」
あのいつもの無表情で、それでも声では嬉しそうに、呟いた

「真帆さん…」
「なぁに?」
「…死にたかった?」
「そうね、また失敗したわ」
真帆さんは静かにそう言った。

「真帆」
章斗さんが、低く真帆さんを呼ぶ
「俺がいる限り、失敗に終わるぞ」
「…そうみたいね」

病室を出て、その後また、章斗さんと二人で話した。

「歌弥ちゃんは、真帆にとって、凄い大事なんだなっていうのは解ってた」
章斗さんは、静かに話した。
「真帆は、小さい頃に両親に虐待された挙げ句、棄てられたからな…
まぁ、それで俺の家にいるんだけど。
俺と、今遠くに住んでる友達二人以外に、信用できる人間って、
いなかったんだよ。」
初めて聞いた話だった。
「ほとんど家族同然でさ、夏休みになると、みんなで旅行したり、海行ったり。
もちろん俺が保護者でさ…そういうとき、ホントにアイツ、楽しそうなんだよ。」
章斗さんは、微かに笑った。
「歌弥ちゃんは、あいつにとって、新しい家族なんだろうな。
学校の先生は、きっと俺が出来なかった「父親の役目」ってヤツを
きっとやってくれたんだろうな…」
「…そう、かぁ…」
私は少し納得した。
実はあの二人の先生が何故パパと呼ばれているのか
解らなかったのだ。

章斗さんは、私を家まで車で送ってくれた。
車では、真帆さんが「浅井先生も好きなんだよー」と
話していたアーティストの曲が延々と流されていた。

「真帆はな、小5からうちにいるんだ」
「そうなんですか。」
「まぁ、生まれた頃からちょくちょく会ってはいたけどな…
うちの両親と、真帆の両親、仲良くってさ…」
懐かしむように、静かに章斗さんは話し出した。
「あいつ、両親の所為でいろいろ苛められたりしてな、見かねて俺が引き取った。
俺が真帆を連れて行くことを、どっちの両親も反対してたけど、
真帆を救うにはそれしかなかった。今でも俺が正しかったと思ってる。
何より笑ってる時間増えたからな」
嬉しそうに、章斗さんは笑った。

章斗さんは別れ際に「夏休みになったら家にいつでも遊びにおいで」と
言っていた。おそらく行こうと思わなくても真帆さんが誘ってくるだろう。

ああ、もうすぐ終業式だ。
終業式には、真帆さん、来るかな。

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Thursday, January 05, 2006

向日葵のカミサマ~Vol.4~

章斗さんは缶コーヒーを両手で挟んで持って
時折、手の中で缶をを転がしていた
「初めて会ったのは、真帆さんが3年生だったときです」
「だろうね、君が今中3なんだから」
とてもつまらなそうに、私を見ながら呟いた。
「…最初は、普通の、園芸部の先輩でした。」
「あいつ何で園芸部なんて入ったんだろうな、未だに謎。
しかもこの前退部届けだしたんだよな、知ってる?」
「…知ってます」
「あ、ゴメン話反らして、続きをどうぞ」

私はそこから、止まることなく話した。

「11月になって、真帆さんが、演劇部の公演に出てたんです。
その時、いつもは死んだ魚のよーな目をしているのに、
本当はこんなにキラキラしてる人なんだ、って気が付いて…
一緒に出掛けたりするうちに、仲良くなったんです。
いろいろ、お互いに話して、理解し合えるようになって…
真帆さんにとって、私は重要な存在みたいです。
学校では、先生達ともよく遊んでもらっていますよ。
学校の先生に二人程真帆さんにパパって呼ばれてる先生がいます」
「その人!」
章斗さんが、急に呟いた。
「あいつ、昨日、いきなりボソッと「…パパぁー」って言うから
何かと思ってさ、珍しくおやじさんに会う気になったのかと思って聞いたら
「違う」って一言返されてー…」
「…どっちのパパかな…」
私は、少し悩んだ。
「…でも、良かった、少し学校のアイツが解った。」
「そうですか?」
「あいつは、ずっと俺が全てだったのになー…」
少し、悲しそうに、章斗さんは呟いた。

「行こうか」
そういいながら章斗さんは立ち上がった

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Thursday, December 29, 2005

向日葵のカミサマ~Vol.3~

その日の放課後、私は部活をサボって章斗さんに会いに行った。
電話で話すだけでは何となく心配だったし
真帆さんのお見舞いがてら、出かけていった。
先生達から「何かあったら伝えろ」と学校で言われた。

章斗さんは私を駅まで迎えに来てくれた。
「わざわざ来てくれてありがとう」
静かに笑いながら章斗さんは私を見た
「じゃあ、行こうか」
章斗さんはゆっくり歩き出した。
「あの、真帆さん、大丈夫なんですか?」
急に、章斗さんが足を止めた。
「病院に着いたら、話すね」
数回しか会ったことのない私にでも解る
無理のある笑顔で、答えてくれた。

真帆さんは、章斗さんの話をよくしてくれた。
「手に入らない、大事なモノ」と。
きっと章斗さんはそう言われていることを知らないのだろう。

病院に着くと、章斗さんは「おいで」と
私をラウンジに連れて行った。
「真帆さんには、会えないんですか?」
「…会えなくないけれど、会って大丈夫かなぁ」
章斗さんは、深い深い溜息をついた。

「…でもまぁ、歌弥ちゃんなら、良いだろ」
「…そうですか。」
少し、安心した。

「歌弥ちゃん」
「何ですか?」
「少し、真帆のことを話してくれないか?」
「真帆さんのこと、ですか?」
私は思わず聞き返した
なぜなら章斗さんがきっと真帆さんのことはよく知っていると思ったから。
「そう、真帆のこと。特に、学校のこと」
「…いいですよ。」

初めて出会ってから、今に至るまで…
私と、真帆さん…

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Monday, December 12, 2005

向日葵のカミサマ~Vol.2~

夏休みに入ろうとする頃
テストに追われて、明日がテスト最終日という日
その電話は、真帆さんが「唯一の家族」と謳う
章斗さんからの電話だった。

章斗さんは真帆さんより4つ年上で
小さい頃からずっと真帆さんの面倒を見てきたそうだ
真帆さんはよく、家に帰らないで章斗さんの家にいた。
元々章斗さんの家に、真帆さんの部屋というのがあった。
以前「うちに来る?」と真帆さんが言ったので
行ってみると、其処は章斗さんの家だった。
おそらく実家には殆ど帰っていないのだろう。

着信音が鳴る
知らない電話番号に少し戸惑ったが
出なくてはいけない気がした。
「もしもし?」
「…歌弥ちゃん?」
「…はい」
「岸本章斗です」
「ああ、章斗さん…ご無沙汰しています」
私は知らない人ではなかったので安堵の息をついた。
「突然ごめんね、実は、真帆が入院したんだ」
「…ええ!?」
私は耳を疑った、何か嫌な予感がした
「昨日の夜、家中の薬かき集めて、服薬自殺を図ったんだ」

私は明日のテスト後、再度電話をすることを約束して電話を切った。

実は、心の何処かでこういう事態を予想していた。
真帆さんはいつも、死んだような目をしていたから

翌朝、朝一番に英語の教科書とにらめっこしながら電車に乗った
学校に着くと、真っ先に職員室に突っ込んだ。
「失礼します!浅井せんせー!」
浅井先生は私のクラスの英語の先生。
今日は浅井先生のテストだ。
「どーしたの?」
「真帆さんが入院した!」
「はぁ…?」
何とも間の抜けた返事だった。
事のあらましを話すと、先生が真面目な顔になった。

テストの後、今度は真帆さんの英語の先生ー矢倉先生に伝えに行った。
先生にはどうやら真帆さんの担任の先生を通して伝わっていたようだった。

放課後、章斗さんに電話をした

章斗さんが、真帆さんについて話してくれるのは、もう少し、後のこと

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Saturday, December 10, 2005

向日葵のカミサマ~vol.1~

夏休みの少し前、久々に真帆さんと一緒に帰る。
真帆さんは「課題を出しに行く」と言うので
職員室に立ち寄った。

「パパぁー、英語の課題ー」
「ああ、ホントにできたのか?」
「無理。教科書見ながら頑張ったよー」
「わかった。」

彼女、真帆さんが「パパ」と呼んだのは本当の「パパ」ではない。
何を隠そう、真帆さんのクラスの英語担当の先生だ。
いつの間にかこの先生は何人かの2年生に「パパ」と呼ばれるようになっていた。

真帆さんは「パパ」に課題を渡すと私の方を振り返った。
「歌弥、帰ろう?」
「うん。」
私は頷くだけだった。

昇降口へ向かおうとすると真帆さんのもう一人の「パパ」が
向こう側から歩いてきた。この「パパ」はうちのクラスの英語を
1時間だけ担当している。

「パパぁー」
真帆さんは走り寄っていく。
「パパじゃなーいー…」
笑いながらその「パパ」は真帆さんとすれ違う
「先生また明日ねー!」
あ、珍しい、先生って呼んだ。
先生は手を振って応えていた。

そんな楽しそうな真帆さんが、この日見納めになるとは思ってなかった。

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